レーザー利用

真空紫外分光分析
眞空紫外とは通常200 nm以下の波長を言います。200 nm以下は酸素分子や窒素分子の吸収があるため大気中では実験ができないため、実験には真空環境が必要です。
短波長レーザーや、非線形材料を用いて発生させる高次光を用いることで、真空紫外光の分析に可能になります。物質の内殻励起による電子状態の解析などに活用されています。

 

真空紫外分光の応用
短波長の紫外線は、分子結合を切断し、DNAに損傷を起こすことができるため、強い殺菌作用を持ちます。それを活かして、殺菌装置などに活用されています。

 

半導体微細加工技術(リソグラフィー)への応用
最先端のリソグラフィ技術では、ArFエキシマレーザー光(193 nm)が実用化されています。今後さらなる微細化を目指して、短波長光源の研究、高次光を用いる手法、13 nm や5 nm程度の波長の軟X線を用いる手法等、様々な研究が進められています。

 

照射実験・アブレーション
ハイパワーのレーザー光を物質(特に有機物質、高分子など)に照射すると、多光子吸収を伴う光励起反応によって瞬間的に分解して蒸発します。これがアブレーションです。ナノ材料の加工、金属な誘電体の加工などに活用されています。

 

放射光とレーザーの連携活用
小型~中型のレーザーを放射光と組み合わせて使うシーンとしては、一つには時分割実験があります。放射光はパルス状の光(パケット)の繰り返しからなり、典型的にはパケットの間隔は約2 ns、1つのパケットの時間幅は約40 ps程度です(http://www.jssrr.jp/journal/pdf/19/p223.pdf)。放射光で物質を励起させてレーザー(あるいは光)で観測する方法、レーザーで物質を励起させて放射光で観測する方法などが考えられます。

また、レーザー光による衝撃圧縮(https://www.wakusei.jp/book/pp/2006/2006-3-04/2006-3-04.pdf)を用いた超高圧実験も最近着目されています。

さらに、FELの中赤外レーザーを照射して物性が変化した物質を放射光で観測する研究も最近着目されています。例えば、次の論文は立命館大SRC、日大FEL、京大FEL、東京理科大FELの共同研究成果であり、セルロースを分解してグルコース燃料を得るという社会的インパクトが比較的高いテーマのため、新聞業界やメディアも注目しています。

https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acs.energyfuels.0c01069

下記の論文は、東京理科大FEL、あいちSR、フランスCNRSとの共同研究成果であり、脳内で蓄積されるアミロイド繊維をFELで解離させた場合の構造変化をついて報告したものです。放射光はX線回折に用いられています。

https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acs.jpcb.0c05385